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全省庁統一資格とは

国の入札に参加するために必要な「全省庁統一資格」。名前は聞いたことがあっても、「どの省庁の入札に使えるのか」「等級はどう決まるのか」「申請にはどんな書類が必要なのか」を正確に把握している方は意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、行政書士が、調達ポータル(デジタル庁運営)の公式公示文書をもとに、全省庁統一資格の基礎から申請方法、必要書類、等級の決まり方までを、初めての方にもわかりやすく解説します。

※ 本記事は令和7・8・9年度(2025〜2027年度)の制度内容に基づきます。公式情報は調達ポータル「全省庁統一資格について」をご確認ください。

目次

全省庁統一資格とは?

全省庁統一資格とは、国の各省庁が発注する物品の製造・販売、役務の提供などの入札に参加するために必要な、共通の資格です。正式名称は「一般競争(指名競争)参加資格(全省庁統一資格)」といいます。

もともと省庁ごとに個別の資格審査が必要でしたが、現在は1か所に申請するだけで、希望する地域内のすべての対象省庁で有効になる「統一資格」として運用されています。この点が最大のメリットです。

制度の根拠

全省庁統一資格は、予算決算及び会計令(予決令)に基づく制度です。運営はデジタル庁が行っており、申請は「調達ポータル」というウェブサイトから行います。

資格が有効になる省庁と地域

対象となる31の省庁等

令和7・8・9年度に有効な全省庁統一資格は、次の31の省庁等で使うことができます(外局・附属機関・地方支分部局を含む)。

  • 衆議院、参議院、国立国会図書館、最高裁判所、会計検査院
  • 内閣官房、内閣法制局、人事院、内閣府本府、宮内庁
  • 公正取引委員会、警察庁、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会、サイバー通信情報監理委員会
  • 金融庁、消費者庁、こども家庭庁、デジタル庁、復興庁
  • 総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省
  • 厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省

8つの競争参加地域

資格は、希望する地域(複数選択可)ごとに付与されます。地域区分は次の8つです。

地域含まれる都道府県
北海道北海道
東北青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島
関東・甲信越茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野
東海・北陸富山・石川・福井・岐阜・静岡・愛知・三重
近畿滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山
中国鳥取・島根・岡山・広島・山口
四国徳島・香川・愛媛・高知
九州・沖縄福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄

※ 全国の入札に参加したい場合は、8地域すべてを選択することも可能です。

4つの資格種類と営業品目

全省庁統一資格は、申請する「資格の種類」を以下の4つから選択します。複数を組み合わせて申請することもできます。

(1) 物品の製造(27品目)

事業者が自社で製造した物品を国に納入する場合の資格です。衣服・繊維製品、印刷物、紙加工品、車両、家具・什器、機器類、医薬品、警察用・防衛用装備品など、27の品目区分から該当するものを選びます。

(2) 物品の販売(27品目)

他社が製造した物品を仕入れて国に販売する場合の資格です。品目区分は「物品の製造」と同じく27品目です。事務用品、書籍、燃料、家具などの販売事業者はこちらに該当します。

(3) 役務の提供等(15品目)

物品ではなく、サービスを提供する場合の資格です。広告・宣伝、調査・研究、情報処理、ソフトウェア開発、建物管理、運送、車両整備など15の品目区分があります。IT企業やコンサル、清掃業、警備業など、幅広い業種が対象になります。

(4) 物品の買受け(2品目)

国が処分する物品(立木竹など)を購入する場合の資格です。立木竹とその他の2品目があります。木材業や中古品買取業などが該当します。

営業品目の選び方

営業品目は、実際に取り扱っている品目に限り選択可能です。「念のため広く選んでおく」と、入札時の資格証明や納品実績の整合性で問題が生じる可能性があります。事業内容に合わせて正確に選びましょう。

等級はどうやって決まるのか

全省庁統一資格の最大の特徴のひとつが、「等級制度」です。事業者の規模や経営状況を点数化し、A〜D(物品の買受けはA〜C)の等級に区分されます。等級によって、参加できる入札の予定価格レンジが決まります。

評価項目と付与数値

等級は次の5項目(物品の製造以外は4項目)を点数化し、合計点で決まります。合計100点満点です。

評価項目満点備考
年間平均(生産・販売)高60〜65点区分により点数が異なる
自己資本額の合計10〜15点同上
流動比率10点共通
営業年数5〜10点区分により点数が異なる
機械設備等の額15点物品の製造のみ

たとえば、年間平均生産高200億円以上で、自己資本10億円以上、流動比率140%以上、営業20年以上の物品製造業者であれば、年間平均生産高だけで65点が付与され、Aランク(90点以上)も視野に入ります。

等級と予定価格レンジ

合計点に応じて、次のように等級が決まります。等級ごとに参加できる入札の予定価格レンジが定められています。

物品の製造

等級合計点予定価格の範囲
A90点以上3,000万円以上
B80点以上90点未満2,000万円以上3,000万円未満
C55点以上80点未満400万円以上2,000万円未満
D55点未満400万円未満

物品の販売・役務の提供等

等級合計点予定価格の範囲
A90点以上3,000万円以上
B80点以上90点未満1,500万円以上3,000万円未満
C55点以上80点未満300万円以上1,500万円未満
D55点未満300万円未満

物品の買受け

等級合計点予定価格の範囲
A70点以上1,000万円以上
B50点以上70点未満200万円以上1,000万円未満
C50点未満200万円未満
💡 弾力的な競争参加

等級ごとに参加できる予定価格は定められていますが、適正な競争性を確保するため、他の等級の事業者の参加が認められる場合もあります。「Dランクだから入札に参加できない」と諦める必要はありません。

資格の有効期間

令和7・8・9年度の全省庁統一資格は、資格を付与されたときから令和10年3月31日(2028年3月31日)まで有効です。一度取得すれば、有効期間中は何度でも入札に参加できます。

有効期間が終了する前に、次の3年度分の資格を取得するための更新申請を行います。更新を忘れると資格が失効し、再び新規申請が必要になりますのでご注意ください。

申請受付期間

令和7・8・9年度の資格は、令和10年3月10日まで随時申請を受け付けています。期間中いつでも申請できますが、付与されるのは申請後の審査を経てからとなるため、希望する入札の公告に間に合うよう、余裕をもって申請しましょう。

申請方法は2種類

全省庁統一資格の申請方法は、次の2種類があります。

(1) インターネット申請(調達ポータル)

デジタル庁が運営する調達ポータルから、24時間オンラインで申請できる方法です。審査期間が郵送より短く、進捗もポータル上で確認できるため、各省庁もインターネット申請を推奨しています。

ただし、利用者登録(電子証明書またはID・パスワード方式)、添付書類のPDF化、添付書類の送信方法など、いくつかの事前準備が必要です。

(2) 郵送・持参による申請

調達ポータルから申請書様式をダウンロードして印刷し、必要書類とあわせて受付窓口に郵送(書留郵便)または持参する方法です。インターネット環境に不安がある場合の選択肢となります。

申請に必要な書類

申請には、法人・個人事業主それぞれ次の書類が必要です。

法人の場合

  1. 登記事項証明書の写し(3か月以内に発行されたもの)
  2. 財務諸表(直近1期分の貸借対照表・損益計算書)
  3. 納税証明書「その2」の写し(法人税の所得金額の証明)
  4. 納税証明書「その3の3」の写し(法人税および消費税・地方消費税の未納がない証明)

個人事業主の場合

  1. 営業用純資本額に関する書類および収支計算書
  2. 納税証明書「その2」の写し(所得税の所得金額の証明)
  3. 納税証明書「その3の2」の写し(所得税および消費税・地方消費税の未納がない証明)
納税証明書の種類に注意

納税証明書には複数の種類があり、名前が似ているため取り違えやすい書類です。法人は「その2」と「その3の3」の2通、個人事業主は「その2」と「その3の2」の2通が必要です。税務署で取得する際は「全省庁統一資格の申請に使う」と伝えると確実です。

詳しくは必要書類完全リストの記事をご覧ください。

申請から資格取得までの流れ

インターネット申請の場合、おおまかな流れは次のとおりです。

調達ポータルで利用者登録

調達ポータルで利用者登録(電子証明書方式またはID・パスワード方式)を行います。

必要書類を準備

登記事項証明書・財務諸表・納税証明書を準備し、PDF化します。納税証明書は税務署で取得します。

調達ポータルから申請

調達ポータルにログインし、申請区分・営業品目・希望地域・財務情報などを入力。添付書類を送信します。

受付機関による審査

受付機関で内容が審査されます。書類に不備があれば差戻しとなり、再提出が必要です。

資格審査結果通知書の交付

審査が完了すると「資格審査結果通知書」が交付されます。等級・有効期間・参加可能な調達範囲などが記載されています。

申請から結果通知まで、通常2週間から1か月程度を見込んでください。年度替わりなどの繁忙期はさらに時間がかかる場合があります。

申請でつまずきやすいポイント

実際に申請を進めると、次のような点でつまずく方が多くいらっしゃいます。

① 納税証明書の種類を間違える

「その1」「その2」「その3」「その3の2」「その3の3」など、納税証明書には複数の種類があります。必要なのは法人なら「その2」と「その3の3」の2通、個人なら「その2」と「その3の2」の2通です。間違えると取り直しになります。

② 営業品目の選択ミス

実際の事業内容と営業品目がズレていると、入札時に「該当する資格がない」とされて参加できないことがあります。広く選びすぎず、実態に合わせて選びましょう。

③ 財務諸表の数字の取り扱い

等級判定に使う「年間平均高」「自己資本額」「流動比率」などは、財務諸表のどの数字を見るかが決まっています。決算書の項目を取り違えると、本来の等級と異なる結果になることがあります。

④ 差戻しによる時間ロス

記載不備で差戻しになると、修正・再提出のやり取りで1〜2週間の遅れが出ることがあります。入札の公告日に間に合わなくなる可能性もあるため、注意が必要です。

「自分で申請するのは大変」と感じたら

全省庁統一資格は、書類さえ整えば自社で申請することも可能な手続きです。しかし、調達ポータルの操作、別記4・別記5に基づく等級の計算、納税証明書の種類、財務諸表の数字の対応など、はじめての方には少しハードルが高いのも事実です。

当サイト「楽札(らくさつ)」では、行政書士による全省庁統一資格のオンライン取得代行サービスを提供しています。納税証明書の代行取得から電子申請、3年後の更新リマインダーまでをワンストップでサポートします。

「自社の等級はどのくらいになるのか」を申し込み前に確認したい方は、無料の等級シミュレーターをぜひお試しください。

まとめ

本記事のポイントを整理します。

  • 全省庁統一資格は、国の31省庁等が発注する物品・役務の入札に参加するための共通資格
  • 申請する資格は4種類(物品の製造/販売/役務の提供等/物品の買受け)
  • 等級はA〜D(買受けはA〜C)の4区分で、年間平均高・自己資本・流動比率・営業年数などで決まる
  • 令和7・8・9年度の資格は令和10年3月31日まで有効、申請は令和10年3月10日まで随時受付
  • 申請方法はインターネット(推奨)と郵送・持参の2種類
  • 必要書類は登記事項証明書・財務諸表・納税証明書2通(法人なら「その2」と「その3の3」、個人なら「その2」と「その3の2」)

全省庁統一資格は、中小企業が国との取引に参入するための大切な第一歩です。本記事を入口として、自社が取得対象になるか、どの等級になりそうかをまず確認してみてください。

出典・参考

※ 本記事は令和8年(2026年)時点の公式情報に基づきます。制度変更等により内容が更新される場合がありますので、最新情報は調達ポータル公式サイトをご確認ください。

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