MENU

等級の決まり方

全省庁統一資格を取得しようとすると、必ず登場するのが「等級」というキーワードです。A・B・C・Dの4段階(物品の買受けはA・B・Cの3段階)に区分され、等級によって参加できる入札の予定価格レンジが決まる仕組みになっています。

「うちの会社の規模で、どの等級になるのか」「等級を上げるには、何を改善すればいいのか」——気になる方も多いはず。この記事では、行政書士が、調達ポータル(デジタル庁運営)の公式公示文書をもとに、等級判定のしくみと計算方法を、具体例を交えて解説します。

※ 本記事は令和7・8・9年度(2025〜2027年度)の制度内容に基づきます。公式情報は調達ポータル「競争参加者の資格に関する公示(令和07・08・09年度)」をご確認ください。

目次

等級制度のキホン

全省庁統一資格の等級制度は、事業者の規模・経営状態を点数化(最高100点)して、その合計点でA〜D(または A〜C)に区分するしくみです。等級ごとに参加できる入札の予定価格レンジが決まっているため、自社の事業規模に応じた入札に参加できるよう設計されています。

等級は「契約の種類」ごとに付与される

等級は申請する契約の種類(物品の製造/物品の販売/役務の提供等/物品の買受け)ごとに付与されます。複数の契約種類を申請する場合は、それぞれに等級がつきます。

等級を決める5つの評価項目

公式公示の別記4「付与数値」では、次の5つの項目で点数を計算するよう定められています。

  1. 年間平均(生産・販売)高 最大65点
  2. 自己資本額の合計 最大15点
  3. 流動比率 最大10点
  4. 営業年数 最大10点
  5. 機械設備等の額 最大15点(物品の製造のみ)

これら5項目を点数化し、合計点で等級が決まります。合計の最高点は100点です。

⚠️ 物品の製造と、それ以外で配点が異なる

「年間平均高」「自己資本額」「営業年数」の3項目は、物品の製造の場合と、それ以外(販売・役務など)の場合で配点が異なります

  • 物品の製造:機械設備等の額(最大15点)が加算されるため、他項目の配点は低め
  • 物品の販売・役務の提供等:機械設備の項目がない代わりに、他項目の配点が高め

どちらも合計の最高点が100点になるよう設計されています。

各項目の付与数値(公式の点数表)

以下は、別記4から転載した正式な付与数値表です。左の列が「物品の製造」、右の列が「物品の販売・役務の提供等」の点数となります。

① 年間平均(生産・販売)高

区分物品の製造物品の販売・役務等
200億円以上60点65点
100億円以上 200億円未満55点60点
50億円以上 100億円未満50点55点
25億円以上 50億円未満45点50点
10億円以上 25億円未満40点45点
5億円以上 10億円未満35点40点
2.5億円以上 5億円未満30点35点
1億円以上 2.5億円未満25点30点
5,000万円以上 1億円未満20点25点
2,500万円以上 5,000万円未満15点20点
2,500万円未満10点15点

② 自己資本額の合計

区分物品の製造物品の販売・役務等
10億円以上10点15点
1億円以上 10億円未満8点12点
1,000万円以上 1億円未満6点9点
100万円以上 1,000万円未満4点6点
100万円未満2点3点

③ 流動比率(共通)

流動比率は物品の製造・それ以外で共通の配点です。

区分付与数値
140%以上10点
120%以上 140%未満8点
100%以上 120%未満6点
100%未満4点

※ 流動比率=流動資産÷流動負債×100。短期的な支払能力を示す指標です。

④ 営業年数

区分物品の製造物品の販売・役務等
20年以上5点10点
10年以上 20年未満4点8点
10年未満3点6点

⑤ 機械設備等の額(物品の製造のみ)

区分付与数値
10億円以上15点
1億円以上 10億円未満12点
5,000万円以上 1億円未満9点
1,000万円以上 5,000万円未満6点
1,000万円未満3点

合計点と等級の対応

5項目(または4項目)の合計点が出たら、別記5の基準に従って等級が決まります。

物品の製造/物品の販売・役務の提供等

等級合計点
A90点以上
B80点以上 90点未満
C55点以上 80点未満
D55点未満

物品の買受け

等級合計点
A70点以上
B50点以上 70点未満
C50点未満

等級ごとの予定価格レンジ

等級によって、参加できる入札の予定価格レンジが定められています。

物品の製造

等級予定価格の範囲
A3,000万円以上
B2,000万円以上 3,000万円未満
C400万円以上 2,000万円未満
D400万円未満

物品の販売・役務の提供等

等級予定価格の範囲
A3,000万円以上
B1,500万円以上 3,000万円未満
C300万円以上 1,500万円未満
D300万円未満

物品の買受け

等級予定価格の範囲
A1,000万円以上
B200万円以上 1,000万円未満
C200万円未満
弾力的な競争参加

等級ごとに参加できる予定価格は決まっていますが、適正な競争性を確保するため、他の等級の事業者の参加が認められる場合もあります(公示「9」より)。「等級が低いから入札に参加できない」と決めつける必要はありません。

具体的な計算例で見る等級判定

抽象的な点数表だけではイメージしづらいので、3つの具体例で等級を計算してみます。

例1:地域密着の物品販売会社(年商3億円)

  • 申請区分:物品の販売
  • 年間平均販売高:3億円
  • 自己資本:5,000万円
  • 流動比率:130%
  • 営業年数:12年
項目該当区分付与数値
年間平均販売高2.5億円以上 5億円未満35点
自己資本額1,000万円以上 1億円未満9点
流動比率120%以上 140%未満8点
営業年数10年以上 20年未満8点
合計60点

合計60点は、物品の販売の区分(55点以上80点未満がC)に該当するため、C等級。予定価格300万円以上1,500万円未満の入札に参加できます。

例2:中堅の役務提供会社(年商8億円)

  • 申請区分:役務の提供等(ソフトウェア開発)
  • 年間平均取引高:8億円
  • 自己資本:1.5億円
  • 流動比率:150%
  • 営業年数:25年
項目該当区分付与数値
年間平均取引高5億円以上 10億円未満40点
自己資本額1億円以上 10億円未満12点
流動比率140%以上10点
営業年数20年以上10点
合計72点

合計72点でC等級(55点以上80点未満)。あと8点でB等級ですが、年商や自己資本を一段階上げる必要があり、ハードルは高めです。役務の提供等のC等級の予定価格レンジは300万円以上1,500万円未満です。

例3:物品製造業(年商30億円・設備2億円)

  • 申請区分:物品の製造
  • 年間平均生産高:30億円
  • 自己資本:3億円
  • 流動比率:145%
  • 営業年数:22年
  • 機械設備等の額:2億円
項目該当区分付与数値
年間平均生産高25億円以上 50億円未満45点
自己資本額1億円以上 10億円未満8点
流動比率140%以上10点
営業年数20年以上5点
機械設備等の額1億円以上 10億円未満12点
合計80点

合計80点でちょうどB等級(80点以上90点未満)に該当。物品の製造のB等級は予定価格2,000万円以上3,000万円未満の入札に参加できます。

等級を上げるためのヒント

等級を上げて、より大きな予定価格の入札に参加したい場合、評価項目のどこを改善すべきでしょうか。

① 年間平均高は配点が最大

年間平均高は最大65点(物品の販売・役務)または60点(物品の製造)と、もっとも配点が大きい項目です。事業規模の拡大は、最も直接的に等級アップにつながります。

② 流動比率は短期的に改善しやすい

流動比率(流動資産÷流動負債)は、短期借入の返済や在庫の適正化で改善できる項目です。100%未満→100%以上で4点→6点、140%以上で10点と、わずかな改善で点数が上がる可能性があります。

③ 営業年数は時間で積み上がる

営業年数は、10年・20年の節目で点数が上がる項目です。創業10年目、20年目の更新申請のタイミングで、自然と等級が上がる場合があります。

④ 自己資本の充実は中長期で

自己資本額は、利益の内部留保や増資で改善できる項目です。1億円を超えると一段階点数が上がるなど、節目があります。

等級アップだけが目的ではない

等級は事業規模を反映する指標であり、無理に等級を上げても、その規模の入札を実際に履行できる体制がなければ意味がありません。自社の事業規模に見合った等級で着実に入札実績を積むのが、健全なステップです。

自社の等級を、その場で確認できます

「うちの会社は、どの等級になりそうか」を、点数表と財務諸表を見比べながら計算するのは少し面倒です。当サイト「楽札」では、年間平均高・自己資本・営業年数などを入力するだけで、その場で想定等級と入札可能な予定価格レンジを表示する無料シミュレーターをご用意しています。

会員登録なし・60秒で診断できますので、お気軽にお試しください。

等級についてよくある質問

年間平均高は、何年分の平均ですか?

原則として、申請日からさかのぼった過去2年分の年間生産高(または販売高)の平均値を使います。創業から2年に満たない場合は、決算済の年数で計算します。具体的な計算方法は申請手引きをご確認ください。

複数の申請区分を選んだ場合、等級は別々に付きますか?

はい、別々に付きます。たとえば「物品の販売」と「役務の提供等」を同時に申請した場合、それぞれの区分で等級が判定されます。配点の構造が同じなので、結果としては同じ等級になることが多いです。

D等級でも入札には参加できますか?

はい、D等級でも予定価格400万円未満(物品の製造)または300万円未満(販売・役務)の入札に参加できます。また、調達機関の判断で他等級の入札に参加できる場合もあります(弾力的な競争参加)。

創業間もない会社でも申請できますか?

はい、申請可能です。営業年数が10年未満の場合は3点(製造)または6点(販売・役務)が付与されます。決算実績がないと年間平均高の評価ができないため、原則として1期分以上の決算が終わっていることが望ましいです。

更新時に等級が変わることはありますか?

はい、3年後の更新申請時には、その時点の財務諸表・営業年数で再判定されます。事業が拡大していれば等級が上がる可能性があり、逆に縮小していれば下がることもあります。

まとめ

本記事のポイントを整理します。

  • 等級は5つ(または4つ)の評価項目を点数化した合計点で決まる(最高100点)
  • 物品の製造と、それ以外(販売・役務)では配点が異なる
  • 等級はA・B・C・D(買受けはA・B・C)の4区分
  • 等級に応じた予定価格レンジの入札に参加できる
  • 等級アップに最も効くのは「年間平均高」、短期改善には「流動比率」
  • D等級でも、規模に応じた入札への参加は可能

自社の等級は財務諸表と公式の点数表があれば計算可能ですが、慣れていないと混乱しがちです。楽札の等級シミュレーターで、まずは無料・60秒で確認してみてください。

出典・参考

※ 本記事は令和8年(2026年)時点の公式情報に基づきます。制度変更等により内容が更新される場合がありますので、最新情報は調達ポータル公式サイトをご確認ください。

あわせて読みたい

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次