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経審との違い

公共調達に関わる建設業者の方から、「経審を受けているけれど、全省庁統一資格も必要?」「経審があれば全省庁統一資格はいらない?」というご質問をよくいただきます。

結論からお伝えすると、経審と全省庁統一資格は、対象とする調達分野がまったく異なる別々の制度です。建設工事を請け負うなら経審、物品の販売や役務の提供を行うなら全省庁統一資格、両方扱うなら両方を取得する必要があります。

この記事では、行政書士が、両制度の根拠法令から評価項目、有効期限、費用までを徹底比較し、自社にどちらが必要かをご判断いただける情報を整理します。

目次

結論:経審と全省庁統一資格の決定的な違い

まずは、両制度の主な違いを一覧で見てみましょう。

項目経審(経営事項審査)全省庁統一資格
対象分野公共工事(建設業)物品・役務の調達
根拠法令建設業法 第27条の23予算決算及び会計令
主管国土交通省デジタル庁(運営)/各省庁
申請先都道府県知事 または 地方整備局各省庁受付窓口(インターネットは調達ポータル)
結果の形式総合評定値(P点)A〜D(買受けはA〜C)等級
有効期限審査基準日から1年7か月3年
取得後の追加手続各発注機関への入札参加資格申請が別途必要取得すれば31省庁でそのまま有効
ポイント

「公共工事を請け負う」のか「物品・役務を国に納める」のかで、必要な資格が変わります。業務内容に応じて、片方または両方を取得することになります。

経審(経営事項審査)とは

経審とは、国・地方公共団体などが発注する公共工事を直接請け負おうとする建設業者が、必ず受けなければならない審査です。建設業法第27条の23に基づく法定の制度で、国土交通省の所管となっています。

評価項目

経審では、次の4つの観点で建設業者を評価し、点数化します。

  • 経営状況(Y点):負債回転期間、自己資本対固定資産比率などの財務指標
  • 経営規模(X1・X2点):完成工事高、自己資本額、利益額など
  • 技術力(Z点):技術職員数、元請完成工事高
  • その他の審査項目(社会性等)(W点):労働福祉、防災活動、法令順守状況など

これらの点数を所定の計算式で集約したものが「総合評定値(P点)」です。P点が高いほど、上位の等級に格付けされやすくなります。

経審の有効期限

経審の結果通知書は、審査基準日(前期決算日)から1年7か月間有効です。公共工事を継続的に請け負うためには、毎年の決算後に受審し続ける必要があります。

経審だけでは入札に参加できない

ここがよく誤解される点ですが、経審を受けただけでは公共工事の入札には参加できません。経審はあくまで建設業者の客観的な実力を点数化する「土台」であり、実際に入札に参加するには、各発注機関(国・都道府県・市町村など)に対して別途入札参加資格申請を行う必要があります。発注機関ごとに、経審のP点に主観的事項を加えて独自の格付けを行っているためです。

全省庁統一資格とは

全省庁統一資格は、国の各省庁が発注する物品の製造・販売、役務の提供、買受けの入札に参加するための共通資格です。予算決算及び会計令に基づく制度で、デジタル庁が運営する「調達ポータル」から申請します。

評価項目

全省庁統一資格では、次の5項目(物品の製造以外は4項目)を点数化します。

  • 年間平均(生産・販売)高
  • 自己資本額の合計
  • 流動比率
  • 営業年数
  • 機械設備等の額(物品の製造のみ)

合計100点満点で、結果はA・B・C・D(買受けはA・B・C)の等級として通知されます。

経審との大きな違い

全省庁統一資格は、その名のとおり1か所に申請するだけで31省庁の入札に参加できる「統一資格」です。経審のように、発注機関ごとに別途の申請をする必要はありません。これが全省庁統一資格の最大のメリットです。

経審と全省庁統一資格を、さらに詳しく比較

① 評価の観点が大きく違う

経審は、建設業者の「施工能力」(技術職員数、完成工事高、社会性など)を重視します。一方、全省庁統一資格は、事業者の「経営規模・財務体力」(年間平均高、自己資本など)が中心です。

建設業者が公共工事を施工するには技術力が不可欠なので、技術職員の人数や種別が点数に反映されます。一方、物品調達では「指定の物品を期日どおりに納められる体力」が重要なので、財務指標で評価されるという仕組みです。

② 取得・維持の手間

項目経審全省庁統一資格
申請窓口都道府県/地方整備局調達ポータル または 各省庁窓口
事前審査経営状況分析(民間機関)が必要不要
有効期限1年7か月(実務上毎年受審)3年
申請費用(公的手数料)数千円〜数万円納税証明書実費のみ(数百円〜)
専門家費用の相場10〜20万円程度3〜5万円程度

経審は毎年受審が必要で、事前に「経営状況分析」を国土交通大臣登録の分析機関に依頼するなど、手続きが重層的です。一方、全省庁統一資格は3年に1回の更新で済むため、維持の負担が比較的軽い制度です。

③ 取得後の使い方

  • 経審 → 結果通知書を取得後、各発注機関(国・都道府県・市町村など)に別途入札参加資格申請
  • 全省庁統一資格 → 取得すれば、31省庁の入札にそのまま参加可能

経審の場合、「国の発注工事に参加したい」「県の発注工事に参加したい」「市の発注工事に参加したい」と思ったら、それぞれの発注機関に別々の入札参加資格申請を行う必要があります。これは独立行政法人や公益法人なども同様です。

自社はどちらを取得すべき?

自社の事業内容に応じて、必要な資格を見極めましょう。

ケース1:建設工事のみを請け負う

例:土木工事・建築工事・電気工事・管工事などの専門工事会社

経審のみが必要です。各発注機関への入札参加資格申請とあわせて行います。全省庁統一資格は基本的に不要です。

ケース2:物品の販売・役務の提供のみ

例:事務用品販売、ソフトウェア開発、清掃業、警備業、調査研究会社など

全省庁統一資格のみが必要です。経審は建設業者向けの制度なので、建設業以外の事業者が経審を受ける必要はありません。

ケース3:建設業+物品・役務の兼業

例:建設業を本業としつつ、機材販売や設計業務、メンテナンス業務も行う会社

経審+全省庁統一資格の両方が必要になる可能性があります。それぞれ別の入札に参加するために、両方を取得しておくことで受注機会の幅が広がります。

💡 建設業者が全省庁統一資格を取得する意外なメリット

建設業をメインとする会社でも、「役務の提供等」として、建物管理・各種保守管理・調査研究などで全省庁統一資格を取得するケースがあります。本業の建設工事の閑散期に、物品調達分野で別の収益源を確保できる可能性があります。

両方が必要な場合の進め方

経審と全省庁統一資格の両方が必要な場合は、申請先・必要書類・有効期限がすべて別なので、それぞれを並行して進めることになります。

  • 経審 → 国土交通省所管。毎年の決算後に受審サイクル
  • 全省庁統一資格 → デジタル庁所管(運営)。3年に1回の更新

必要書類のうち、登記事項証明書や納税証明書は両方で使用するため、取得タイミングを合わせて一度に揃えると効率的です。

建設業と物品調達、両方をご相談いただけます

当サイト「楽札」を運営するかなで行政書士法人は、創業以来、建設業許可・経審を中心に約150社の中小企業をサポートしてきた行政書士法人です。経審・各発注機関への入札参加資格申請のご相談を、長年承っています。

2026年からは、これまでの建設業分野での経験を活かし、全省庁統一資格の取得代行サービス「楽札」を開始しました。建設業のお客様が物品調達分野にも進出される際の、両制度をワンストップでご相談いただける体制です。

経審と全省庁統一資格に関するよくある質問

経審を受けていれば、全省庁統一資格も自動的に取得できますか?

いいえ、別々の制度なので、それぞれ申請が必要です。経審で取得したP点や等級は、全省庁統一資格の審査には反映されません。

建設業許可があれば、全省庁統一資格は申請できますか?

はい、建設業許可の有無は全省庁統一資格の申請要件ではありません。建設業を営みながら、物品の販売や役務の提供で全省庁統一資格を取得することも可能です。

経審のP点が高いと、全省庁統一資格の等級も高くなりますか?

直接の関連はありません。ただし、年間平均高や自己資本額など、両方の評価項目で共通する財務指標があるため、結果的に両方とも高評価となる傾向はあります。

建設業者が建物管理や保守管理を全省庁統一資格で取得することは可能ですか?

はい、可能です。「役務の提供等」の「⑨建物管理等各種保守管理」などの営業品目で申請できます。実際に行っている業務に該当する品目を選択してください。

経審と全省庁統一資格、どちらが先に必要ですか?

事業内容によります。建設工事の入札を急ぐなら経審、物品・役務の入札を急ぐなら全省庁統一資格を優先しましょう。両方必要な場合は、決算時期との兼ね合いで並行進行します。

まとめ

本記事のポイントを整理します。

  • 経審は建設工事の公共調達向け、全省庁統一資格は物品・役務の調達向けの別制度
  • 経審は建設業法第27条の23、全省庁統一資格は予算決算及び会計令が根拠
  • 経審の有効期限は1年7か月、全省庁統一資格は3年
  • 経審は発注機関ごとに別途入札参加資格申請が必要、全省庁統一資格は31省庁で共通
  • 建設業+物品・役務の兼業なら、両方の取得が必要なケースが多い

自社の事業内容にあわせて、必要な資格を見極めることが入札参加の第一歩です。判断に迷う場合は、両制度に対応している行政書士にご相談ください。

出典・参考

※ 本記事は令和8年(2026年)時点の制度・公式情報に基づきます。両制度とも法令改正により内容が変更される場合がありますので、最新情報は各公式サイトをご確認ください。

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