全省庁統一資格を申請するには、いくつかの書類を準備する必要があります。なかでも納税証明書は種類が多く、「その2」「その3の3」など似た名前が並ぶため、初めての方は取り違えてしまいやすい書類です。
この記事では、行政書士が、調達ポータル(デジタル庁運営)の公式公示文書をもとに、全省庁統一資格の申請に必要な書類を法人・個人事業主別に整理し、それぞれの取得方法や費用、注意点まで解説します。
※ 本記事は令和7・8・9年度(2025〜2027年度)の制度内容に基づきます。公式情報は調達ポータル「競争参加者の資格に関する公示」をご確認ください。
必要書類の全体像(法人・個人別)
公式公示の「3 競争参加資格の申請」で定められている、申請に必要な書類は次のとおりです。
法人の場合
- 登記事項証明書の写し
- 財務諸表(直近1期分の貸借対照表・損益計算書)
- 納税証明書「その2」の写し(法人税の所得金額の証明)
- 納税証明書「その3の3」の写し(法人税・消費税及び地方消費税の未納がない証明)
個人事業主の場合
- 営業用純資本額に関する書類及び収支計算書
- 納税証明書「その2」の写し(所得税の所得金額の証明)
- 納税証明書「その3の2」の写し(所得税・消費税及び地方消費税の未納がない証明)
法人は「その2」と「その3の3」、個人事業主は「その2」と「その3の2」と、それぞれ2種類の納税証明書を取得する必要があります。これは公式公示の「3(1)ア(ウ)」で明確に規定されています。
法人の必要書類(詳細)
① 登記事項証明書
法人の登記情報(商号・本店所在地・代表者・資本金など)を証明する書類です。「履歴事項全部証明書」または「現在事項全部証明書」のどちらでも使用可能です。
- 取得場所:法務局(窓口)/オンライン申請(登記情報提供サービス)
- 手数料:書面1通600円(窓口)・480円(郵送・オンラインで請求して窓口受取)・500円(オンライン請求・郵送)
- 有効期限:申請日から3か月以内に発行されたもの
② 財務諸表(直近1期分)
直近1期分の貸借対照表・損益計算書が必要です。等級判定の根拠となる「年間平均高」「自己資本」「流動比率」などはこの財務諸表から計算されます。
- 取得場所:自社の経理担当または顧問税理士
- 手数料:なし(自社で作成済)
- 形式:申請時はPDF化して送信(インターネット申請の場合)
③ 納税証明書「その2」(法人)
法人税の所得金額を証明する書類です。
- 取得場所:所轄税務署(窓口・郵送)/e-Tax(オンライン)
- 手数料:窓口・郵送400円/e-Tax 370円
- 必要なもの:法人番号、代表者印、本人確認書類など
④ 納税証明書「その3の3」(法人)
法人税および消費税・地方消費税について、未納の税額がないことを証明する書類です。「その3の3」は法人専用で、1通に「法人税」と「消費税・地方消費税」の両方が記載される形式になっています。
- 取得場所:所轄税務署(窓口・郵送)/e-Tax(オンライン)
- 手数料:窓口・郵送400円/e-Tax 370円
個人事業主の必要書類(詳細)
① 営業用純資本額に関する書類及び収支計算書
個人事業主の場合、法人の財務諸表に相当するものとして、営業用純資本額に関する書類(資産・負債の一覧)と収支計算書を提出します。確定申告で青色申告を行っている場合は、青色申告決算書がそのまま使えるケースが多いです。
② 納税証明書「その2」(個人)
申告所得税及復興特別所得税の所得金額を証明する書類です。
③ 納税証明書「その3の2」(個人)
申告所得税及復興特別所得税と消費税・地方消費税について、未納の税額がないことを証明する書類です。「その3の2」は個人専用で、1通に「所得税」と「消費税・地方消費税」の両方が記載される形式です。
- 法人 → その3の3(法人税+消費税)
- 個人 → その3の2(所得税+消費税)
名前が似ているので、税務署で取得する際は「全省庁統一資格の申請に使う」と伝えると確実です。
納税証明書の種類を一覧で整理
納税証明書は種類が多く混乱しやすいので、全種類を一覧にまとめます。太字が全省庁統一資格で使うものです。
| 種類 | 証明内容 | 統一資格で使う? |
|---|---|---|
| その1 | 納付すべき税額、納付した税額、未納税額 | 使わない |
| その2 | 所得金額の証明(法人税または所得税) | ○(法人・個人とも) |
| その3の1 | 未納の税額がないことの証明(指定税目) | 使わない |
| その3の2 | 所得税+消費税の未納がないことの証明 | ○(個人事業主) |
| その3の3 | 法人税+消費税の未納がないことの証明 | ○(法人) |
| その4 | 滞納処分を受けたことがないことの証明 | 使わない |
書類の取得方法と費用
登記事項証明書の取得
- 法務局の窓口:1通600円
- オンライン申請(請求後窓口受取):1通480円
- オンライン申請(郵送受取):1通500円
オンライン申請は「登記・供託オンライン申請システム」または「登記情報提供サービス」から行えます。手数料が安く、待ち時間も短いのでおすすめです。
納税証明書の取得
納税証明書は、以下の方法で取得できます。
| 方法 | 所要時間 | 手数料(1通) |
|---|---|---|
| 税務署窓口 | 当日中に発行 | 400円 |
| 郵送請求 | 1〜2週間程度 | 400円+郵送費 |
| e-Tax(オンライン) | 数時間〜1営業日 | 370円 |
e-Taxは手数料が安く、受け取り方法も電子ファイルか郵送・窓口受取から選べるので、慣れている方には便利です。ただし、初めて使う場合は電子証明書の準備など事前準備が必要です。
- 法人:その2(400円)+ その3の3(400円)= 合計800円(窓口の場合)
- 個人:その2(400円)+ その3の2(400円)= 合計800円(窓口の場合)
e-Taxを使えば、それぞれ370円となり、若干安くなります。
インターネット申請なら、書類を省略できる場合も
調達ポータルからインターネット申請を行う場合、電子証明書(マイナンバーカードや商業登記電子証明書)を利用することで、一部の書類取得を省略できる場合があります。
- 登記事項証明書:商業登記電子証明書による連携で、書面取得を省略できる場合がある
- 納税情報:e-Taxとの連携で、電子納税証明書をそのまま添付できる
詳しい運用は調達ポータルの操作マニュアルに記載されていますので、申請前にご確認ください。
書類準備でよくあるつまずきポイント
① 納税証明書の種類を取り違える
最も多いミスが、納税証明書の取り違えです。「その1」「その3の1」「その3の2」「その3の3」など、似た名前が多いため、税務署で「全省庁統一資格の申請に使います」と伝えて確認することをおすすめします。
② 登記事項証明書が3か月を超えてしまう
登記事項証明書には「申請日から3か月以内に発行されたもの」という有効期限があります。書類を一式そろえる過程で時間がかかり、登記事項証明書だけ古くなってしまうケースがあります。申請直前にまとめて取得するのが安全です。
③ 財務諸表の年度を間違える
提出するのは直近1期分の決算書です。「念のため2期分」と提出すると、どちらの数字で等級判定するか確認が必要になり、審査に時間がかかる場合があります。指定どおり直近1期分のみを提出しましょう。
④ 未納税額があると申請できない
納税証明書「その3の3」または「その3の2」は、未納の税額がないことを証明する書類です。納税の遅れがある場合は、まず完納してから請求しましょう。納付直後は反映に数日かかる場合があるので、余裕をもって。
「書類取得が面倒」と感じたら
登記事項証明書は法務局、納税証明書は税務署と、書類取得のために複数の役所に出向く必要があります。日中の時間が取れない経営者の方には、なかなか負担の大きい作業です。
当サイト「楽札(らくさつ)」では、行政書士による全省庁統一資格の取得代行サービスを提供しています。納税証明書は委任状(ご同意)をいただくだけで、税務署での取得を代行します。役所に出向く時間はゼロです。
必要書類に関するよくある質問
- 設立したばかりで決算がまだ終わっていません。申請できますか?
原則として、1期分以上の決算実績が必要です。決算前の場合は、設立時の貸借対照表など、申請受付機関の指示に従った書類が必要になることがあります。詳しくは事前に統一資格ヘルプデスクへお問い合わせください。
- 納税証明書は何か月前のものまで使えますか?
公式公示には明確な有効期限の記載はありませんが、実務上は申請日から3か月以内に発行されたものが安全とされています。登記事項証明書とあわせて、申請直前に取得するのが確実です。
- 登記事項証明書は「履歴事項」と「現在事項」のどちらでもよいですか?
はい、どちらでも申請可能です。一般的には現在の登記情報がわかる「現在事項全部証明書」または「履歴事項全部証明書」が用いられます。
- 電子納税証明書(e-Tax)は使えますか?
はい、公式公示でも「電子納税証明書を含む」と明記されており、e-Taxで発行された電子納税証明書も使用可能です。インターネット申請との相性が良いのでおすすめです。
- 添付書類はPDFでないとダメですか?
インターネット申請の場合、書類はPDF形式での提出が基本です。ただし、電子化が難しい書類は別途郵送(書留郵便)で送付することも可能です。詳しくは調達ポータルの操作マニュアルを参照してください。
まとめ
本記事のポイントを整理します。
- 法人は「登記事項証明書」「財務諸表」「納税証明書その2」「納税証明書その3の3」の4点
- 個人事業主は「営業用純資本額・収支計算書」「納税証明書その2」「納税証明書その3の2」の3点
- 納税証明書は法人・個人とも2種類(2通)必要
- 登記事項証明書は3か月以内に発行されたもの
- e-Taxの電子納税証明書も利用可能で、手数料が若干安い
- 書類取得は計画的に。最後にまとめて取得するとスムーズ
書類が揃えば、あとは調達ポータルから申請するだけです。書類取得や納税証明書の種類選びで不安がある場合は、行政書士への相談もご検討ください。
出典・参考
- 調達ポータル「競争参加者の資格に関する公示(令和07・08・09年度)」
- 国税庁「納税証明書の交付請求手続」
- 法務局「登記事項証明書交付請求の手数料」
※ 本記事は令和8年(2026年)時点の公式情報に基づきます。手数料や有効期限などは変更される場合がありますので、最新情報は各公式サイトをご確認ください。